今回は絵本「おかえし」をご紹介します。1989年9月発行のこの絵本は、まだ娘が幼い頃に、寝るときに読む本のリクエスト回数が一番多かった絵本です。なぜ子供にこの物語がウケるのか?大人になった今でも印象に残る「おかえし」の魅力とは?
絵本「おかえし」のストーリー
絵本「おかえし」は
作:村山桂子(むらやま・けいこ)さん
絵:織茂恭子さん(折茂・きょうこ)さん
の作品です。
32ページの絵本なので少し長めですが、読んであげるなら3歳くらいからでも楽しめますし、小学校低学年になればひとりで読むこともできる優しい絵本です。
ストーリーは至って簡単です。
”たぬきさん”が住む家の隣に引っ越してきた”きつねさん”が、いちごを持ってさんに挨拶に行きます。
すると、”たぬきさん”は頂いた「いちご」のお返しにと「たけのこ」を持って”きつねさん”の家に行きます。
”きつねさん”と”たぬきさん”のおかえしはどんどんエスカレートして・・・。というお話です。
絵本「おかえし」が子供にウケる理由
この絵本「おかえし」は、なぜ娘にウケたのでしょう?
それは、何度も繰り返される「おかえし」のフレーズの繰り返しの面白さにあります。
「おかえしのおかえしです」
「おかえしのおかえしのおかえしです」
「おかえしのおかえしのおかえしのおかえしです」
という感じでどんどんエスカレートしていく「おかえし」の繰り返しが子供にはとにかくウケます。
ただ、読み手の私は最後の方は息が切れます(笑)
どこで息継ぎをしようかと悩むくらい「おかえし」は繰り返されるので、毎晩読まされると若干面倒臭くもなりました。
それでも読み始めるとこちらも精が入ります!
文章には母親たちの事しか書かれていませんが、絵ではそれぞれの子供たちの様子も面白いのです。
母親同士が「おかえし」合戦をしている間、それぞれの子供たちは頂いた「いちご」をひとりで頬張り、おかえしの品物を持って家を出る母親のためにドアを開けてあげたりしています。
その間、子供たちのセリフは何もありません。
その、家で待つ子供たちの息遣いまで聞こえそうな絵によって、大人の私も幼少の娘も「いちごひとりで食べちゃったね」「こんなにあげちゃってお父さん帰ってきたら怒らないのかな?」など会話が広がるのです。
赤・黄色・緑・青の明るい色使いも目に楽しく、とても明るい気持ちになる絵本です。
絵本「おかえし」の感想は?
日本には「おかえし」の習慣は昔からあります。
頂き物をしたら、何か「おかえし」をするということを、私は母から、母も祖母から、祖母ももちろん親から教えられてきたことです。
いいえ、教えられたというより、見ていたと言う方が正しいかもしれません。
親の行いを見ていたので「おかえしするもの」と当たり前のように思っているのです。
そう、絵本「おかえし」のなかのきつねさんや、たぬきさんの子供と同じように、私たちも、親が「おかえし」をするのを側で見ていたのです。
それが絵本になり、現実ではあり得ないほどエスカレートする単純な物語なのですが、これによって子供は「何か頂いたら”おかえし”するんだ」という認識が生まれます。
「おかえし」の習慣が良い・悪いの考え方や、「ほんのつまらないものですが」という表現にしても賛否両論あるのですが、それは今は別にしておきましょう。
人に品物をあげるというのは「心」であり、頂いた側の感謝という心も人として大切にしたいと思うのです。
しかし、この絵本「おかえし」はそんな難しいことを考えるよりも「おかえしのおかえしのおかえしのおかえしのおかえしの・・・」(今、何回言ったっけ??)と子供たちと楽しく読むのがいいのです!
さて、この絵本が大好きだった娘は大人になり、頂き物に「おかえし」をする時に「あの絵本みたいだね(笑)」と笑って言います。
絵本「おかえし」が、いかに子供心に残る作品なのかの証だと思います。
絵本「おかえし」の残念なところ
多くの絵本や小説など読んでいると「あぁ、これはちょっと残念」と思うことがあります。
しかし、この「おかえし」ではそう感じる部分は全くありません!
ピンクの水玉模様のワンピースを着ているきつねさんと、黄色い星柄模様のワンピースを着ているたぬきさんがとてもキュートで可愛らしく、前掛け(今で言うサロンエプロン?)も懐かしいです。
このままずっと変わらないでいて欲しい一冊です。
まとめ
【絵本「おかえし」感想レビュー|くり返し言葉が病みつきになる親子で読みたい一冊!】をご紹介しました。
この記事を書くにあたり、再び本棚から「おかえし」を取り出しました。今でも色褪せないきつねさんとたぬきさん。
「おかえしのおかえしのおかえしの・・・・」はとても楽しい呪文のようです。
ぜひ、一度手にとってお子様と読んで見てくださいね。
「読書大好き50代主婦の感想文」でした。